“進取”の精神が生んだ海南ブランド。「こんなの欲しかった!」が見つかる「クロシオ」のものづくり

“進取”の精神が生んだ海南ブランド。「こんなの欲しかった!」が見つかる「クロシオ」のものづくり

国内最大の家庭用品産地である和歌山県海南市。豊かな自然と「進取」(=自分から進んで物事をすること)の精神をもって、多くの企業がその地でさまざまな分野の家庭用品を生み出しています。今回はそんな「海南ブランド」の一角であり、組み立て家具のパイオニア、そして大定番家具「カラーボックス」の生みの親でもある株式会社クロシオさんに、同社の深い歴史やものづくりの理念をお伺いしました。

今回お話を聞いたのは

海外留学を経て2006年9月に北九州にある家具・雑貨の輸入会社へ就職。国内営業、中国(広州)駐在に従事し、2011年1月 株式会社クロシオへ転職。営業、仕入れ、受注業務を経て、現在は営業部へ。

創業はなんと明治!紀州和歌山の特産品から始まったクロシオのものづくり

RoomClip mag編集部
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海南市に根ざし、多種多様な家具を開発・販売されているクロシオさん。海南市といえば、バス・トイレ・キッチン関連の生活用品メーカーが多いイメージですが、御社では創業当初から家具を製造されていたのですか?

クロシオ 中地さん

いえ、事業のスタートはやはり海南地方の特産品を使用した生活用品からでした。明治41年(1908年)、初代代表である深谷政太郎が海南市野上新にて、紀州特産棕櫚ロープや網、蓑傘(みのがさ)やたわしの製造を自宅で始めたのがクロシオの始まりです。棕櫚は和歌山県海南地方の特産品のひとつで、特にロープは伸縮性に富み、海水に強い特徴を持つため、昔から漁場を中心に使用されていました。

RoomClip mag編集部
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さまざまな用途に使える棕櫚という原料の存在が、海南地域のものづくりを発展させてきたんですね。今年で創業115年とのこと、長い歴史を持つ由緒正しい「海南ブランド」ですね。生活用品でもヒット商品はあったのでしょうか?

クロシオ 中地さん

戦後すぐの昭和20年(1945年)、2代目代表の深谷清次が「深谷清次商店」に屋号を変更し、たわしに柄を付けた業界初「柄付けたわし」の開発に成功しました。これが大ヒットし、おもしろいように売れ続けたそうです。

▲創業以来、海南市でものづくりを続けてきたクロシオの現在の本社。周囲にはのどかな風景が広がる

誰もが知る定番家具「カラーボックス」の誕生秘話

RoomClip mag編集部
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クロシオさんといえばその代表作はやはり「カラーボックス」ですよね。気軽に買えて汎用性も高い、今となっては定番中の定番とも言える存在ですが、どうやって誕生したのでしょうか。

クロシオ 中地さん

ある日、3代目社長の深谷政男と夫人の恵子さんが大阪難波の高島屋に出かけたそうなんです。二人で店内を歩いていると、あるディスプレイが目に飛び込んできました。そこには20個ほどのカラフルなプラスチック性のキューブ型ボックスが山の様に積み重ねられ、売り場が明るく彩られていました。恵子夫人はそのキューブ型ボックスを大変気に入り、その場で3個購入。自宅に戻りさっそく買ってきたキューブ型ボックスを積み木の様にひとつひとつ床に並べたり重ねたりして眺めていた恵子夫人がふと「こんな商品が木工で作れればいいね」とつぶやいたそうなんです。この一言が深谷政男の心に火をつけました。このボックスを3つ重ねれば、3段の棚になる!と。

RoomClip mag編集部
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奥さまの何気ない言葉から世紀のヒット商品が…!

クロシオ 中地さん

政男はさっそく大手印刷会社の協力のもと、当時の色紙を薄いベニヤに貼って合板を作り、特殊加工で軽い3段ボックスの試作を始めました。試行錯誤を何度も重ね、やがて思い描いた試作品が完成しました。昭和45年(1970年)、日本で初めての「カラーボックス」が完成。当初の採用色はオレンジ、赤、グリーン、白で、木目調が普通だったこれまでの家具のイメージを大きく覆すものでした。

▲初代カラーボックスの誕生。当時家具に色をつけること自体が画期的なアイデアだった

RoomClip mag編集部
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発売当時の広告写真もポップでかわいい!これはかなり新鮮だったでしょうね。

クロシオ 中地さん

組み立て式を採用したことによるフラットパッケージ化、また重量は4.5kgと軽量化にも成功し、完成品の家具と比べて運送費は大幅にカットできました。政男は当初、これを家具店ではなく、スーパーの家庭用品売り場で販売しようと決めていたそうです。百貨店の店舗数は知れていますが、スーパーはどこの街にも必ずあったことが理由です。「これは絶対に売れる!」サンプルの出来栄えに自信を持った政男はさっそく試作品を持って、スーパーや家具屋さん、量販店を回ってみたのですが反応は無く…

RoomClip mag編集部
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あららら…

クロシオ 中地さん

そんなある日、ある会社の商談室ロビーで数名の女性が弊社の商品サンプルを見て「これかわいい♪」と反応を示してくれたようなんです。通りかかったバイヤーがその姿に気づき、そこから商品化に向けてスタートを切ることができました。販売名はもちろん「カラーボックス」で、発売開始の秋に1万台を生産しましたが、それでも生産が追いつかない大ヒットとなりました。

RoomClip mag編集部
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見つけてもらえてよかった!女性たちの感性に刺さる商品だったんですね。

クロシオ 中地さん

カラーボックスは今や世界中で生産・販売されて、誰もが知っている商品となりました。残念ながら現在クロシオでは発売当初のようなカラーボックスの取り扱いはなくなりましたが、一般的な呼称として使われている「カラーボックス」という言葉は、当時はクロシオ家具の商品名だったんですよ。カラーボックスの発売から数年の間に、クロシオは数十点の組み立て家具を開発し、家具市場を改革させました。 昭和53年(1978年)には、香港はじめ東南アジアに組み立て家具を持ち込み、政男の力強い押しの一手で、3年後には香港市場で流通する組み立て家具の80%をクロシオの商品が占めるようになりました。

RoomClip mag編集部
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組み立て家具のパイオニアとして一時代を築いたんですね…!

▲こちらはクロシオ製の組み立て式リビングワゴン。カラーボックスの開発をきっかけに、クロシオは日本における「組み立て家具」のパイオニアになった

「みんなが幸せで楽しく暮らせる」というあたりまえを実現したい

RoomClip mag編集部
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長い歴史のなか、時代によって生活様式や需要の変化もあったと思いますが、今現在のクロシオさんはどのような想いでものづくりをされているのでしょうか。

クロシオ 中地さん

クロシオは、「こんな商品あったらいいな」の意見を出し合う機会が非常に多い会社です。時には全社員をチーム分けし、生活が楽しくなる・かゆいところに手が届く、そんな商品案を出し合っています。また、これには必ず社長自ら先頭に立ち、時には社長賞が出ることもあります。

RoomClip mag編集部
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社員ひとりひとりが鋭い生活者目線を持ってらっしゃるんですね。みんながワクワクしながら新商品の開発をされているなんてすばらしい。

クロシオ 中地さん

チーム戦となると、営業はもちろん、社内業務担当チーム、物流チーム、品管チーム、それぞれ違った角度からのアプローチとなることが多く、聞いているだけでもとても楽しい気持ちになります。空気清浄機ワゴンやデュアルモニターテーブルは、この過程から生まれた商品です。

▲空気清浄機ワゴンとデュアルモニターテーブル。「あったらいいな」という社員の声から生まれた

RoomClip mag編集部
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各分野のプロフェッショナルな意見が飛び交う商品企画会議、熱量がすごそうですね…!さらに、製品の安全面にもかなりこだわっているとお聞きしています。

クロシオ 中地さん

クロシオ倉庫には毎朝40Fコンテナ(※)がやってきます。中身はもちろん家具やソファー、時にはマッサージ器が運ばれてきます。これらの商品は開発段階から、たとえば鋭角な角は丸みを持たせる、グラつきのあるものは補強材を入れるなど、安全への配慮を大切にしています。また入荷した商品は必ず専門の検品員が入荷検品を行い、そこで合格しなければ出荷を止めることもあります。 お客様にとって安心・安全であることは、「みんなが幸せで楽しく暮らせる」というクロシオのビジョンを実現する大前提ですから、そこはいっさい妥協していません。



※長さ約12.2M、幅約2.4M、高さ約2.6Mの貨物コンテナ。

▲角丸加工や転倒防止器具をつけるなど、安全への配慮は抜かりない

RoomClip mag編集部
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すべての商品に責任を持つ、という強い志があるのですね。

クロシオ 中地さん

現在はSDGsの観点から、間伐材や端材を使ったり、本来使われない部分の木材まで使った商品など、環境に配慮した商品の開発も行っています。また、可能な限りの緩衝材の削減や、再利用できる梱包材の開発にも取り組んでいます。国内外問わず取引工場と一致団結し、「みんなが幸せで楽しく暮らせる」世界を実現するためにさまざまな取り組みを続けていきたいですね。

時代のニーズをキャッチ!クロシオのベストセラー&イチオシ商品は

RoomClip mag編集部
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カラーボックス以外で、これが「クロシオのベストセラー!」と言える商品はありますか?

クロシオ 中地さん

ベストセラー商品というと、非常に難しく1つに絞ることができません… 歴代の代表商品ではシステムデスク120、ランスタンドFAX台、FFテレラック、薄型シューズボックスなどは、その商品だけでコンテナを作り、それが頻繁に入荷してくるものの、それでも間に合わない商品でした。現在ではマッサージ器の商品ラインナップにも力を入れていまして、中でもネックマッサーも~むやシートマッサージャーセララが大変人気ですね。

RoomClip mag編集部
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たくさんの商品を世に送り出してらっしゃいますもんね。それでは中地さんの個人的なイチオシ商品はいかがですか?

クロシオ 中地さん

個人的な「イチオシ!」はランドセルハンガーラックです。これは小学生のお子様向けに開発した商品で、ランドセル、教科書、文房具、制服、その他学用品が全て収納でき、お子様の「お片付け習慣付け」にも活躍する商品で、進学時期にとても需要の高まる商品です。また隠しキャスター付きなので、掃除の際にちょっと動かすことも楽で、親御さんからも好評をいただいてます。季節品なのでベストセラーとはなりませんが、個人的イチオシですね。

RoomClip mag編集部
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RoomClipに投稿されているユーザーさんの写真によると、保育園の頃から通園グッズの整理用棚として使われている方もいるようです。子どもの成長を見守りつつサポートしてくれる家具、良いですね!

▲中地さんイチオシのランドセルハンガーラック。学校生活に必要なものをまんべんなく収納できる。角を丸くするなどの配慮も行き届いている

これからも「こんな商品探してた!」の声が聞きたい

RoomClip mag編集部
RoomClip mag編集部

先ほどもマッサージ器のお話が出ていましたが、最近は健康器具やペット用品などの分野にも力を入れておられるんですね。今後の商品展開の展望などありましたらお聞かせください!

クロシオ 中地さん

やはり使っていただくお客様の今、またこれからの生活を想像することが大事なのかなと考えています。ジャンル問わず、「そうそう、こんな商品を探してた!」と言っていただけるような商品開発をしていきたいですね。例えば、進歩する家電に必要となる収納、電子化の進歩と共に変わる生活環境に合わせた家具、増える狭小部屋でスペースを有効活用する家具など、持ち物や生活にコミットし、暮らしを豊かにする商品を作っていけたらと。そのために日々、アンテナを張っています。地球環境に配慮した商品にも引き続き注力していきたいですね。

▲「角度調節ができる壁掛け風アングルテレビ台」はテレビの薄型化・住宅の狭小化による省スペース志向に合わせて開発されたヒット商品。
RoomClip mag編集部
RoomClip mag編集部

お客様の期待に応えたい、という想いがクロシオさんの原動力なんですね。

クロシオ 中地さん

はい。今後もお客様の安全・安心を含め、生活を豊かにすることを目指し、心を込めて開発した商品が少しでも皆さまの生活のお役に立てたらと思います。これからも皆さまに選ばれるクロシオでありたいなと。今後ともクロシオの商品を何卒よろしくお願いいたします。

RoomClip mag編集部
RoomClip mag編集部

クロシオさんの情熱とプライド。しっかり伝わってきました!本日はありがとうございました!

クロシオ商品のおすすめはこちら!

ユーザーさんの投稿写真をご紹介。クロシオ家具のある暮らし

豊かな緑を楽しむ特等席

写真だけで癒される、緑に溢れたKikko.さん宅のテラスにはクロシオのアートダイニング3点セットが。気候の良い時期・お天気の日にはこうしてテラスにテーブルを運んで、何気ないひと時を楽しんでいるそう。心身ともにリラックスできそうな空間ですね。

至福のアトリエスペース

お部屋の一角に自分らしいアトリエスペースを作られたsenaninaさん。クロシオのアートダイニングテーブルとチェアは、和の雰囲気がある空間にもしっくりとなじみます。黒いミシンもさながらオブジェのように存在感が引き立っていますね。じっくりと制作に向き合うことができそうです。

海外のようなお部屋にもすっきりマッチ

まるで海外のお部屋のような造作が素敵なmlemonさんのお宅。壁掛けテレビへの憧れと、模様替えのしやすさを天秤にかけた結果、こちらの壁掛け風アングルテレビ台を選ばれたそう。シンプルかつスタイリッシュなデザインで、お部屋の雰囲気を損なうことなくなじんでいますね。

テレビ周りがすっきり!余白を作る壁掛け風スタンド

ナチュラルテイストでほっとくつろげそうなkaoriiiさんのお部屋。ブラックの壁掛け風アングルテレビ台は、お部屋の中で浮くことなく、ちょうど良い引き締め役になってくれています。テレビボードからスタンドに変えた事で、テレビ周りがスッキリし、狭かったリビングに余白ができたのだそう。

モノトーン・シンプル派に人気の鏡面テレビボード

モノトーン中心にスタイリッシュにまとめられたminu5656さんのお部屋にはクロシオの鏡面テレビボードが。配線やオーディオ機器を扉で隠すことができるので、すっきりとした見た目を保てます。清潔感があり、汚れても簡単に拭き取れるのも嬉しいポイント。

こどもたちの学習グッズをまとめて収納!

リビング学習をしているお子さんたちのお勉強道具&通学カバン収納に、ランドセルハンガーラックを購入されたmikoさん。やはり専用家具の威力は絶大だったようで「餅は餅屋!」とのお言葉が。片付けの習慣づけにも役立つ家具は、こどもとの暮らしを支える助っ人になってくれそうですね。

コレクションのように飾って見せたいシューズケース

モロッコ調のタイルが目を引くusako.usaさん宅の玄関。まるでコレクションケースのようなアクリルシューズラックにスリッパを収納されています。クリア素材だからこそ圧迫感なく、どんなテイストのお部屋にもなじんでくれるのが嬉しいですね。


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